介護現場においては、現場で生じている課題に気づけること、課題解決のために持続的な思考ができること、思考する自分を冷静に振り返ることなどができる人材が求められています。重度の要介護者や認知症患者のお世話をすることが多い福祉施設介護員は、利用者の状態や自立支援に向けた課題が揺れ動きやすい中にいるということを自覚しなくてはなりません。
一見、安定していると思われる人でも、水面下で心身などの変化が生じていることがあります。それを早期に察知できるかどうかで、大きな事故や急速な状態悪化を防ぐことができるからです。また、その察知した課題に対し、迅速な解決を図るために持続的なサービスを展開することも必要です。利用者の状態がそれぞれ異なる中で福祉施設介護員は柔軟に対応しなければならず、これさえできていれば全て解決という状況はほとんどありません。そのため、常に利用者に気を配り、ときには同じ目線に立って温かみのある介護サービスの提供をする必要があります。
しかし、人は常に当事者の感情や主観に左右されがちです。冷静に物事を観察し、安心・安全な介護を行うためには、周囲や介護対象者の状況を素早く把握し、どうすればベストなのかを考えて行動する必要があります。そうした習慣を身につけておけば、どのような福祉施設でも存分に活躍することができるでしょう。
福祉施設に入所する高齢者は、入院期間の短縮などで健康状態が不安なまま来られるケースが増えており、その状況下でも限られた人材と資源で対応しなければならないのが現状です。そのため、介護士は早急に入所者の状態を見極め、重症化を防ぎ、安全性の高いケアを実践していくことが求められます。